友人の先輩研究者が遊びにきてくれました。

今日は3年ぶりの友人が私の滞在しているロスキルダまで訪ねにきてくれました。

彼の名はタラス・ぺヴニー (Taras Pevny)、ニューヨーク生まれのウクライナ系アメリカ人です。現在はウクライナで奥さんと娘さんと住んでいるのですが、2年前から研究で南デンマーク大学 (University of Southern Denmark) の大学院の海洋考古学プログラムとウクライナを行き来しています。

彼は私の母校のテキサス農工大学の船舶考古学の先輩で、私が所属してた(現在も研究員として所属している)沈没船復元再構築研究室で働いていました。

実際には彼は私が入学するずっと前にアメリカを離れてウクライナで働いていたので、私が在学中に彼との直接の面識や接点はなかったのですが、私が17世紀のイギリス船のデザインを研究していたところ、教授から私の出した仮説と同じ結論を導いていた研究者がいたと聞かされました。それが彼でした。

船のデザインに関する歴史的な書物は15世紀ごろから出版され始めたのですが、これら当時の船の設計図は秘密主義でわざとチンプンカンプンに書かれており、それを正しく理解するのには一定の知識を用いて設計図に示されていない部分を考察しなければなりません。16・17世紀のイギリス船のデザインにおいて一般的な専門家の間では、デザインにおいて最も重要なのは一定の位置のフレームの組み立て方とその形とされています。

ただタラスと私の考えではこれらのフレーム(横の形)を実際にコントロールしていたのは船の船首から船尾方向に流れていた縦のラインであるというものでした。

タラスの名前を教授に聞いてから彼のこれまでの研究を調べてみると、どれも驚くほどハイレベルで素晴らしいものでした。それから私は彼の最新研究を普段からフォローするようになりました。

そして2015年にポーランドで開かれた学会の初日に知らない男性から自己紹介をされました。それがタラスとのはじめての出会いでした。嬉しいことに彼も私の噂を聞いており、私の研究をずっとフォローしてくれていて、会うのを楽しみにしていたと言ってくれました。

私も彼も船の歴史学だけでなく、そこから沈没船の元の形とその船の能力とデザインを分析する、復元再構築を行う数少ない船舶考古学者です。なので必然的にお互いの研究の話を始めるとすぐに意気投合しました。船舶考古学とひとくくりにいってもその研究分野は多岐にわたるので、私とタラスのように復元再構築を専門分野にする研究者は世界中にも数える程しかいません。実際にはタラスは船の設計図解釈のスペシャリストで、正直私の文献知識など彼の足元にも及びません。

それでもその学会の最中に私たちは様々な意見交換し、その後も時々連絡を取り合っていました。私に取ってタラスは大先輩研究者なのですが、彼も今回私がデンマークにきていることを知りわざわざ電車で片道2時間以上かけて会いに来てくれました。

私にとって貴重な機会だったので今日は一日中彼と様々な研究に対する意見交換をしていました。(基本的には彼の最新の研究について説明してもらい、私が一方的に質問してるだけでしたが、、、)

彼の新しい設計図の解釈の仕方に感心しながら、その研究者としての知識に驚かされ、自分の歴史学者としての未熟さを思い知らされました。

それと同時に彼のような超一流の学者にいろいろと教えてもらい、同じ分野の研究者として協力しながら切磋琢磨できる環境があることに感謝です。

今日も充実した1日でした。タラス先輩、これからも頼りにしています。

 

<発掘プロジェクト>

<船の考古学>

<おまけ>

 

 

 

 

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