ドリア沈没船の船体発見。これだから考古学は面白い!

今日もドリア沈没船で水中作業をしてきました。ドリアとは写真の左側に写っている全長1.5mにもなる巨大な壺のこと。単体でドリウム、複数でドリアと呼びます。この沈没船の水中遺跡では8個もの完全に形を維持したドリウムが狭い区域に散乱しています。

調査の予定は明日までで、私の3次元測量も早めに終わったので、ドリウムの密集している地点の海底を昨日から掘り進めて(試掘して)いました。

そして今日、別のグループのダイバーが海底を80cmほど掘ったところで木材の発見しました。

この木材片には古代船の証であるペグド・モーティス・アンドテノン接合の一部がはっきり見られ、この木片が古代船の外板の一部だというはっきりとした証拠になりました。みんな大喜び!

実は沈没船遺跡といっても、2000年も前の水中遺跡では積荷だけ残っていて、船体自体は朽ちてしまっていることも多いのです。

しかしこのドリア沈没船遺跡は海底の状況から見て古代船の下部の大部分がかなり良い保存状態で残っていると予想できます。

しかも巨大な壺のドリア輸送船の船体が見つかることは極めてレア!来年以降発掘を進めていけば古代の造船技術について沢山の新しいことがわかるかもしれません。

飛行機が登場する以前、唯一の海を越えるための機械であった船は古代の技術の結晶でした。古代の船体構造を調べるのは、現在の最先端の航空機や宇宙船を調べるのに通じるものがあります。つまり古代船を調査することによって古代の技術水準が見えてくるのです。

とにかく古代船の一部を見つけてからはみんなニコニコ。どのように発掘していくか、どんな船が出てくるか、いろんな妄想が止まりません。黄金の延べ棒よりもボロボロの木片を発見した時の方が喜びが大きいのが私たちが考古学者であることの証なのかもしれません。

どんな古代船が海底から姿を現わすのか!?来年からの発掘調査も楽しみでたまらなくなりました。こういう発見の瞬間を仲間と共有できるから考古学はやめられないのです。

明日がドリア沈没船とスペター・ツァブタッド沈没船での作業の最終日。明日を乗り切ったら明後日から世界遺産の町ドゥブロヴニクでワークショップが始まります。

明日も頑張ります。

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