フィンランドでの5日間のワークショップが無事に終わりました。
今回のワークショップは一般の人に公開されたものではなく、参加者はフィンランド政府で働く水中考古学者達と彼らのプロジェクトを支援しているダイバー達でした。
フィンランドはバルト海の奥に位置し、北欧や東欧諸国の川から真水が常に流れてくるのに対し、このバルト海は外海とエーレスンド海峡(デンマークとスウェーデンの間に位置する海峡)で隔てられているため、海水の流入が限られ、ヘルシンキ周辺の塩分濃度は私たちの知っている海水の10分の1ほどしかありません。
これが木材などを食べるふなくい虫(ミミズみたいな海洋生物)の活動を制限するため、沈没船が驚くほどの保存状態で発見されます。300年前の船のロープなどが海底に埋まっていない状態でも当時のままの位置で保存されているほどです。
そんな環境でフィンランドは早くからフォトグラメトリーを使っての沈没船の3次元化を行なってきました。その仕事はどれも素晴らしいもので私も彼らの水中調査については知っていました。水中考古学においてフィンランドはフォトグラメトリーの超先進国というイメージです。今回依頼を頂いた時に正直なところそこまで教えることはないんじゃないかとも思っていました。
しかしながら今回の依頼の彼らの要望としては、これまでも彼らも沈没船の3Dモデルは作成してきたものの、それを考古学データとしては使用してなかったため、ワークショップではどの様に精密な3Dモデル(3次元実測図)を作成し、実際にどの様な情報を引き出すかを教えて欲しいとのことでした。
そして5日間のワークショップが終わる頃には、参加者全員が次はどの様に水中発掘調査を行うかなどをとても興奮しながら話しあっており、私も少しはフィンランドの水中考古学に貢献できたんじゃないかと感じることができました。私自身もこの国や北欧における水中考古学のことを色々と勉強することができて、とても有意義で楽しい1週間でした。
週末をしっかり堪能してから次の国に移動します!