10日前に終わったドゥブロブニクでの防波堤遺跡の水中発掘で今年のクロアチアでの全ての仕事が終わりました。今年は合計で約3か月間(89日)滞在し様々な水中発掘プロジェクトに参加させていただきました。
6月:ドリア沈没船とスペター・ツァブタッド沈没船
今年は6月にドリア沈没船とスペター・ツァブタッド沈没船遺跡の水中調査から始まりました。
6月:水中写真測量国際ワークショップ
その直後にドゥブロブニクでの3次元測量のワークショップを開催し各国の水中考古学者と充実した時間を過ごすことができました。
7月:ジリエ沈没船
その後は古代ギリシャ時代の船、ジリエ沈没船の調査を行いました。
7月:コーナッティ諸島
クロアチア滞在前半の最後はコーナッティ諸島国立公園に向かい、16世紀ごろの集落の陸上発掘。こうして思い返すと6月から7月前半の約一か月間でいろんなところにいったなと思います。その後日本でのプロジェクトのために一時帰国しました。
8月:グナリッチ沈没船水中発掘
ヨーロッパでの仕事が始まる前に10日間だけクロアチアに滞在しました。この後にフィンランド・トルコ・ギリシャのプロジェクトがあり、2カ月後に再びクロアチアに戻ってきました。
10月:学会発表とコーナッティ諸島国立公園
10月のクロアチアの学会には共同研究をさせていただいている九州大学の菅先生を招待させていただき、一緒に楽しい時間を過ごせました。
10月:イロヴィック沈没船調査
コーナッティ諸島での水中調査の後はイスラエルとニュージーランドの考古学者と一緒にイロヴィック沈没船の水中調査をクロアチア北部で行いました。
10月:レタビス沈没船水中発掘
10月:グナリッチ沈没船水中発掘
その後に再びグナリッチ沈没船に戻り水中発掘。これが今年最後のグナリッチ沈没船での水中調査になりました。ちなみにこの沈没船はクロアチアの水中文化遺産の目玉ともいえる非常に重要な水中文化遺産で、私も2012年からこの沈没船の調査に参加しています。
11月:ドゥブロブニクでの防波堤遺跡水中発掘
その後にフランスでの学会とマルタ共和国での仕事が終わり再びクロアチアに帰ってきました。
まとめ
今年はクロアチアだけで
沈没船遺跡:6カ所(スペター・ツァブタッド沈没船(古代ローマ時代)、ドリア沈没船(古代ローマ)、ジリエ沈没船(古代ギリシャ)、イロヴィック沈没船(古代ローマ)、レタビス沈没船(古代ローマ)、グナリッチ沈没船(16世紀ベネチア船)
水中遺跡:1カ所(ドゥブロブニク防波堤水中遺跡(16世紀))
陸上遺跡:1カ所(コーナッティ諸島国立公園集落遺跡(中世))
写真実測ワークショップ:1回
と合計3カ月足らずの滞在にもかかわらず9カ所で働きました。何よりそれだけの貴重な経験を積ませてもらいました。私の研究者としての専門は沈没船の復元再構築(シップ・リコンストラクション)です。これには考古学者として沈没船を見る「目」があるかが重要になります。この目を養うには文献資料だけでなく実際に現場に潜り数多くの沈没船遺跡の研究に携わるしかありません。仕事として依頼をいただいているクロアチアですが、それ以上に毎年研究者として様々な経験をさせてもらっています。
そして何より様々な発掘を通して沢山の水中考古学に携わる人たちと会うことができました。来年も今年みたいに沢山の出会いと思い出が出来ればと思います。なんの縁か1年のうちに2カ月から3カ月を過ごしているアドリア海の国クロアチア。来年からも大切にしていきたいです。