初島での江戸瓦輸送船沈没船遺跡の水中調査をもって2018年の全てのプロジェクトが終了しました。怪我や病気がなく1年を無事に終えられたことが何よりでした。まだ10日以上ありますが今年一年をまとめたいと思います。
まず2018年の年明けはアメリカで迎えました。年明けすぐに開催された学会への参加と、それから約1ヶ月半の母校であるテキサス農工大での研究が目的でした。
その後はメキシコのバハ・カリフォルニア州で20世紀前半の潜水艦水中遺跡と蒸気船沈没船遺跡の調査を行いました。メキシコの後も少しアメリカに帰って研究を続け2月の終わりに日本に帰ってきました。
春先にはスペインで古代ローマ船の水中発掘をマヨルカ島で行いました。3隻もの保存状態の良い沈没船がビーチ前の浅瀬で発見されたことには驚きました。こちらは日本人向けのフィールドスクールを2019年のゴールデンウィークに開催予定なので、もし水中考古学に興味があり、古代船の水中発掘をしてみたい方は是非連絡ください。考古学の経験がなくても大丈夫です。(2019年古代ローマ船水中発掘フィールドスクールの案内)
その後はデンマークで新しいプロジェクトの打ち合わせ。
イタリアでも新しいプロジェクトの打ち合わせを行いました。常に面白そうな研究を求めています。
そしてブルガリアでは国際フィールドスクールの講師を引き受けました。
その後はクロアチアで1ヶ月間以上働きました。7月のクロアチアでは沈没船遺跡3箇所、陸上集落遺跡1箇所の記録作業とワークショップの講師をしました。
そして日本のハーマン号水中調査に参加するために日本に一時帰国しました。
日本での調査が終わり次第すぐクロアチアに戻り16世紀ベネチア船の水中発掘を行いました。
続いてフィンランドでワークショップの講師を受け持ちました。
その後はトルコでヤニカピ沈没船の木材の記録作業の手伝いをしつつ、次のプロジェクトのミーティングを行いました。
その後は58隻の古代船が眠るギリシャのフルニ島で約1ヶ月間の水中記録作業を行いました。
そしてまたまたクロアチアに戻ってきました。この時も3隻の沈没船遺跡の記録作業と学会発表を行いました。
その後フランスで船舶考古学の国際学会に参加して、
直後にマルタ共和国の大学で集中講義とワークショップを受け持ちました。
その後は、またまたまたクロアチアに戻りドゥブロヴニクで防波堤遺跡の水中発掘を行いました。
12月に入り4ヶ月ぶりに振りに帰国して九州大学のシンポジウムで講演させていただきました。
そして今年最後のプロジェクトとして初島沖での沈没船遺跡の水中調査に参加させていただきました。
今年は海外で2018年の年明けを迎え、
アメリカ→メキシコ→日本→スペイン→デンマーク→イタリア→ブルガリア→クロアチア→日本→クロアチア→フィンランド→トルコ→ギリシャ→クロアチア→フランス→マルタ→クロアチア→日本
と13カ国で働かせていただきました。
そのうち沈没船遺跡24隻、水没遺跡2箇所、陸上遺跡2箇所、集中講義/ワークショップ5回、学会3つと、水中考古学の研究者として充実した一年を送ることができました。文献資料を読み造船史を研究するのと、実際に沈没船遺跡に触れながら研究するのでは得る経験値が違います。(もちろん文献資料からの研究も発掘と同様かそれ以上に重要です。つまり文献による知識と現場での経験のバランスが考古学者に大事なのです)。その意味で研究者としてこの上ないほど幸運な一年を過ごすことができました。
そしてここでは紹介しきれませんが、何よりも多くの水中考古学者たちとの新しい出会いがありました。先生方と先輩研究者の方々、そして水中考古学者を目指す生徒の皆さん。彼らとたくさん話し、時間を過ごせたことにより自分自身の研究者としての見聞を広げることができたと思っています。2018年もとても楽しい一年でした。
そして2018年1月から、この面白い学問をより多くの日本の皆様に知ってもらうために水中考古学ウェブサイトの製作を始め、5月からブログを開始しました。この1年間ブログを見て下さりコメントをして下さった皆様ありがとうございました。忙しくて返信できていませんでしたがしっかりと読ませていただいています。2019年は新しい国での仕事もたくさん入っているので楽しみにしていてください。
皆様に水中考古学の面白さを知っていただくために来年も頑張って働くので今後ともよろしくお願いします。