新たな試み。海洋生物保護と水中文化遺産保護。

今週からIBEAMでは1つの新たな試みが始まりました。私がいつもスペインで働いているIBEAMとは、地中海に浮かぶスペインのバリアレス諸島で水中文化遺産の発掘研究と保護を目的に活動している非営利の学術団体です。

実は今週の月曜日に私も参加させてもらった別の団体とのミーティングがあり、今後少しずつ、今回話し合いを行った「Save the Med」というバリアレス諸島で海洋生物の保護をしている非営利団体とIBEAMが協力していくつかの教育普及プロジェクトを行うことになりました。

https://www.savethemed.org/en/#MPA

Save the Medもバレアレス諸島を中心に活動している非営利団体で、主に海洋生物の調査と保護を行なっています。世界中で現在、海に破棄させたプラスチックごみによる問題やビーチなどのゴミによる汚染が話題になっているだけあって、活動の規模がとても大きい注目されている環境保護の団体です。

海洋生物の保護は水中文化遺産に比べるととても人々の関心が大きく、環境保護団体の活動としては順風満帆に見えるのですが、彼らには彼らなりの課題があるようです。そこで同じくバレアレス諸島で非営利団体として活動しているIBEAMに共同プロジェクトを持ちかけたとのことでした。

彼らのいう課題というのが地域密着性です。環境保護は地球規模や国単位での関心は高く、例えばバレアレス諸島を訪れる観光客にとってはとても関心のある出来事なのだそうです。しかしながら局所的な地域の関心がそこまで高いわけでもなく、どこか遠くでの出来事といったスタンスを取られることが多いそうなのです。Save the Medとしてはこれから環境保護のための教育活動にも目を向けていきたいそうで、その為にどのように海洋環境の保護を地元の人々の間で周知化するかの方法を探していたそうです。

そこでその方法の一つとして地域の歴史と密着した水中考古学と協力していきたいとのことでした。つまり彼らとしては水中考古学を入り口にしてもっと地元の人々に海についての関心を持ってもらおうと考えているのです。

これは水中考古学側からしてもとてもありがたい話で、水中文化遺産の保護に一番重要なのは周知化です。より多くの人に知ってもらうことにより関心が高まり、それにより遺跡保護のための活動資金を地元企業などから受けることが可能になります。しかしながら海洋生物の保護などの活動に比べると格段に認知度が低いというのが水中考古学の現実なのです。そこで海洋生物の保護活動と共同の教育活動プロジェクトを行うことができれば、水中文化遺産の存在をより多くの人々に広めていくことができると考えれます。

海洋生物保護も水中文化遺産保護も「守るべきものが水中にある」というか共通の活動目的があり、その最重要課題が「問題の周知化」です。

私も運良くIBEAMと共同研究をしているので、IBEAM側の研究者としてこの輪の中に組み込まれることになりました。どのような形になるのかはわかりませんが、水中文化遺産の保護に役立つ色々な勉強が出来そうです。これから彼らとの活動で学ぶものを、更に他の地域の水中文化遺産の保護に活かせるように頑張ります。また学ぶ楽しみが一つ増えました。

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