
チューク諸島でのフォトグラメトリ水中考古学フィールドスクールが今日から始りました。
午前11時、荷物の紛失などもなく、無事に日本から8名の参加者が到着しました。
今年の6月に仕事でチューク諸島を初めて訪れた際に痛感した、水中戦争遺跡を次に世代に残すことの必要さ。そして願わくば日本人の手でそれを行なっていくという願い。8人の日本人の力をお借りすることによって半年後に実現することが出来ました。
参加者の皆様とは、今回は形では講師と参加者(生徒)という事になりますが、彼らはいわば戦争遺跡を守っていくための同志。力を合わせて今日から7日間頑張ります。

ホテルにチェックインして、昼食をとり、さっそく開講の挨拶をさせていただき、その後に講義を開始しました。
最初はグアム大学のビル・ジェフリー教授に「ミクロネシアとチューク諸島の歴史」について1時間ほどの講義をしていただきました。チューク諸島の文化の成り立ち。そして太平洋戦争とはチュークの人々にとってどういうものであったのか、貴重なことを学びました。

その後は私から「水中文化遺産のデジタル保存と水中考古学への応用」ということで、フォトグラメトリとはどの様な技術で、水中考古学研究と水中遺跡保護にはどのように使用できるのか、といった内容で2時間ほど話させていただきました。
ありがたい事に今回のフィールドスクールには世界各地で活躍なされている日本NGOのJMAS(日本地雷処理を支援する会)の職員の方にも参加していただける事になりました。チューク諸島では水中戦争遺跡からの油の回収を行い、美しいチューク諸島の海を守るために日々戦っている方々。このフィールドスクールや今後の活動のいろいろを手伝っていただける事になりました。100人力です。(https://jmas-ngo.jp/)

そしてフィールドスクール初日の夜は歓迎会。チューク諸島在中の日本人の方々にもお越しいただきました。
今回のフィールドスクールはあくまで水中戦争遺跡保護のための「第一歩」。8名の参加者の皆さまには「フォトグラメトリ」と「3Dモデルを使用した経年変化測定の技術」を学んでいただき、今後もチューク諸島に個人で帰ってきてもらい、継続して遺跡保護用のデータ作りをしていただくことが1番の目的。
そのためには現地で働き、状況を知っている在中の日本人の方々の協力は必要不可欠です。
今後も継続してこの水中戦争遺跡保護フィールドスクールを行うことができれば10年間で約80人もの遺跡保護用3Dデータを作成し経年変化測定のできる日本人ダイバーを輩出することが出来ます。そうしたら少しは何かが変わるはずです。
幸いな事に、チューク諸島在中日本人の皆さまに外部からの人間である私達を温かく迎え入れていただきました。ひたすら感謝。初日としてこれ以上ない楽しい時間を過ごさせていただきました。
そして今回の会食中に私はチューク諸島に42年も住んでいらっしゃる末永さんとお話をさせていただきました。何十年間、信念と誠意と敬意をもち戦争遺跡のために様々な活動をしていらっしゃる日本人。戦争遺跡を次の世代に伝えていくための様々なアドバイスを惜しみなく与えてくださいました。何十年と活動した上での情報。とてつもなく貴重な意見。ただただ感謝。温かい。
今日歓迎会に参加していただいた10名のチューク諸島在中の日本人の皆さま。本当に自分はどれほど運が良い人間か思い知らされます。人との出会いの素晴らしさ。
そして8名の参加者の皆さま。いい方ばかり。マヨルカ島に引き続き楽しみながら7日間過ごせそうです。
年の最後の最後まで、人との出会いの運の良さが自分の「天運」なのだ思い知らされている2019年。2020年は少しでも周りの皆さまに恩返しできる様に頑張ります。
明日からダイビング開始です!