
毎年2月の関東上陸です。
来週からの東京海洋大学さんでの集中講義や、その他もろもろの仕事の為に一昨日千葉にやってきました。

そして昨日は千葉県の小学校(5・6年生)と中学校(1年生)に水中考古学の講演をしてきました。
実はこれ、私の中学校の恩師が教えている学校での講演。個人的に頼まれました。
先生は中学生の頃に私の所属していた野球部の顧問でした。とても厳しい人で「根性」を叩き込まれました。とても教育熱心で生徒第一の先生。このような方を教師に持てたのは運が良かったとしかありません。
野球が全てだった学生時代。根性論が生きていたあの時代。私にとって本当に野球が生活の全てでした。
完全に忘れていましたが、中学2年の冬から3年の夏まではチームメイト2人と3人で江戸川の河川敷で毎晩8キロを走っていました。中学生が毎晩きつい練習の後の自主練としてはなかなかの距離です。そして運良く夏の地元の大会(20校ぐらいだったかな?)で優勝し県大会に行けました。あの時いっぱい練習して、しっかり結果が出たのは私の人格形成には大きな影響を与えたと思います。
そのおかげで大学院時代では、英語が母国語で頭のいいアメリカ人が1日5時間の勉強を、頭のいい日本人だったらおそらく10時間の勉強をしないとだめな環境で「それだったら頭の悪い自分は20時間勉強すれば彼らについていけるんじゃないか?」という滅茶苦茶な理論で突っ走っていました。
おそらく大学院時代のこの頭の悪い理論はあの中学生の頃に頭の深いところに組み込まれたものでしょう。まぁそのおかげで博士になれたので結果オーライなんですけどね。
ただこの理論は誰にでもお勧めするわけではありません。
これは修士号をとったぐらいの時に父親から聞いたんですけど、実は私の留学当初(大学院に入るために英語を勉強していた頃)、父親の知り合いに大学の先生で海外研究の経験もある方がいて、私がテキサス農工大大学院への進学を目指しているということを話題に出したときに、「絶対に無理だから辞めた方がいい」と言われたそう。「もししっかりと大学院に入って文系の学位を取りたいんだったら、アメリカの学部生でしっかりと4年間英語で勉強してその上で大学院に行かないと絶対に文系の学位は取れないよ、さもなければ時間とお金の無駄になるからすぐにでも日本に帰して就職させた方がいい」とアドバイスを受けたそう。
実は私もこの方の意見に賛成。
もし私のように英語力ゼロ、学力ゼロの若者が「アメリカのある程度の大学院で文系の学位を取りたいので今すぐ留学したい!」という方がアドバイスを聞きにきたら、「ちょっと待って、取り敢えず日本である程度準備を整えよう。それから行こう」と言ってしまうと思います。
というのも私は大学院の入学は何より、その後大学院で生き残るために勉強しすぎて3回死にかけています。なかなか勉強のしすぎで死にかけた経験がある方は珍しんじゃないでしょうか?しかも3回。(でも死んでいません。勉強のし過ぎではなかなか死なないことがわかりました。)

1回目は試験前に72時間寝ないでぶっ通しで暗記してたら幻を見るようになりました。寝たら治りました。2回目と3回目は5 hour energyという危険な飲み物がアメリカにはあるのですが、5時間ごとに2本ずつ飲みながら寝ないで勉強しまくってたら動悸が止まらなくなり、ひたすら嘔吐しました。両方とも寝不足と脳の使い過ぎが原因だったので、寝たら治りました。(当時の彼女からは「寝ながら勉強してたけど大丈夫?」と何度も言われました。寝言での勉強具合が凄かったらしいです。もはや「廃人」。いや「狂人」)
そんなこんなで仲のいい同級生からは「そんな方法で勉強してたらいつか死んでしまうからやめてくれ」と本気で頼まれていたので、博士論文を書き終えたその日にスッパリとエナジードリンクは辞めました。死にかけた経験もあるので、卒業してからもう4年間も口にしてません。皆さんも危険なので辞めましょうね。効率化のためにも睡眠は必要です。
そんな経験もあるので、軽い気持ちでテキサス農工大大学院への留学のアドバイスをしてその人が死にかけても責任は持てません。なので準備はある程度しっかりしましょう。あの時英語力ゼロ・学力ゼロ、知り合いゼロで、スースケース一つ引っ張ってアメリカに行ったのは「無知の賜物」でしかありません。
話がズレましたが、「頭が良くないんだったら、頭のいい人の何倍も勉強すりゃいいだけじゃん。簡単じゃね?」という滅茶苦茶な理論は、おそらく中学生の頃に培われた考え、お勧めはしないですが、私はこのめでたい思考に救われています。
昨日は中学生の頃の恩師と話しながら、そんな事を思いだしました。

もちろん小中学生の講演ではこんな事は話していません。人それぞれにあった努力の仕方があるので、「賢く」努力しましょうね。