駆逐艦蕨の現地調査が終わり、その後ちょこちょこあった取材等もひと段落着きました。調査の準備期間と現地での調査期間は忙しすぎて進めれなかった、溜まっていた海外からのやり取りもようやく落ち着き始めました。

9月に入ってから徐々に海外から再び来年の7月以降の仕事依頼が来るようになり、まだコロナ禍の真っただ中ながら、2021年後半から再び2019年までの生活が再開する兆しが見え始めました。
ただ面白いのが、大規模の水中調査が再開されていくのがアメリカやデンマークやフィンランドなどの北欧各国、オーストラリアなど一般的に見て経済的に安定している国々。改めて「考古学は経済的に豊かな国の学問」であり「情勢や経済が安定していない国ではそれほど活発な学問ではない」のだなぁと実感。だからこそ、まだ考古学が学問として発展していない国の力になりたいと思いました。中南米やアフリカでの水中考古学プロジェクトが再開するのはいつになるのだろう。
コロナ禍の後の世界の水中考古学はどのように変わっていくのかなと考えたりする機会も多くなりました。

さて、タイトルにもある「カウントダウン」ですが、これはどういう意図かというと、自分にとって「日本にいられる残りの時間のカウントダウン」です。もちろん日本から海外に移住分けするわけではないですが、コロナが治まったらもうこんなにも長時間日本に滞在できる時間は無いと思います。
現段階でわかっている限り、来年の7月頃から海外諸国での仕事が再開します。あと9か月間。
3月にコロナが蔓延し、海外での仕事を切り上げて日本に帰ってきてから6カ月間になります。私にとっては特別な時間になっています。
もともと海外信奉者でなく日本大好きな私にとって、常日頃からもう少し日本での時間を増やしたいと思っていました。しかしながら海外からの沈没船調査の仕事(研究)はどれもたまらなく面白いし、やりがいもあって、それらの依頼を無理に断わることも出来ませんでした。結果仕事を詰め込み、1年のうちほぼ海外を渡り歩くことに。
そんな中、このコロナ禍で海外での仕事が全てキャンセルまたは延期に、それでも幾つか小規模調査の依頼はあったのですが、入国後2週間隔離されるので「ワクチンがいきわたるまでは海外での仕事を行いません。」と伝え、依頼主である同僚(友人)とも後腐れなく仕事を断り、堂々と日本に滞在できています。
不謹慎ですが、私にとっては「天使のくれた時間」。これは2000年に制作されたニコラスケイジ主演の映画のタイトルで、大好きな映画の1つです。お勧めです。
ともかく思いがけず出来たまとまった時間。実家住まいなので家族と過ごしたり、茶太郎ちゃん(犬)を可愛がったり出来ています。私は18歳で大学に入ってから寮生活だったので、両親とこんなに時間を過ごすのは18年ぶり。おばあちゃんと一緒に住むのは生まれて初めてです。最近は茶太郎ちゃんの甘えん坊っぷりも半端ないです。
それに普段から連絡をとれるような日本人の友人も沢山できました。初めてLINEを使うようになりました。
その他にも新たに様々な新しい研究を仲間と立ち上げたり、これまでは出来なかった国内でのワークショップや講演(オンラインですが)、一般書の執筆などという新しいタイプの仕事も出来ています。去年までは過労(胃腸炎)で倒れるまで働いていたのに、今は忙しいながらもある程度の余裕をもって過ごせています。
この時間がいつまでも続くと勘違いしてしまいそうですが、今月に入り海外での仕事の打ち合わせが徐々に始まり、今の時間にも終わりがあるのを実感。
もちろん西洋の造船史が研究の専門の私にとって海外での仕事が始まることは楽しみですし、また海外の同僚と仕事が出来るのも待ち遠しいです。でも今の時間が終わってしまうのも寂しく感じます。
残り9カ月。日本での6カ月間で新しい仕事や研究が始まりました。残り9カ月でこれらの仕事と研究を形にして、来年からも継続できるような土台を作らなければなりません。コロナ後も日本での仕事の割合を増やせるように頑張ります。そうしないと本当に茶太郎ちゃんと生き別れになってしまう!!!!
これから数カ月は現地調査も少なく、少し落ち着きそうなので、仕事の中心は執筆活動になります。調査が再開する春までに原稿を3冊分!楽しみにしていてください。
最近は小さい頃なんとなく憧れていた「やまふねさん、原稿の進み具合はどうですか?」の連絡が来るように。近いうちに温泉旅館に籠って、原稿用紙をクシャクシャにバラまきながら、パソコンカタカタと文豪ごっこをやる予定です。
あと9カ月間、いろいろなプロジェクトの計画も立てています。
頑張るぞーーーーーーーーーー!!!!!