
皆様、お久しぶりです。
Twitterなど私のSNSをフォローしてくださっている方はご存じかもしれませんが、3月18日からサイパンでのプロジェクトに参加しています。
昨日、10日間の水中作業も怪我無く無事に昨わりました。
今回行っていたプロジェクトについて今言える範囲で少し書かせていただきます。
(後ほど、時間のある時にしっかりと詳しく書かせていただきますね)
今回のプロジェクトは、これまで私が行ってきたどのプロジェクトとは違っていました。目的はこれまでの【水中遺跡の発掘調査による歴史の探求】のための研究プロジェクトではなく、【まだ見つかっていない戦没者遺骨の発見と回収】です。
今回はアメリカのDefense POW/MIA Accounting Agency (DPAA)という国防省内にある戦争中のアメリカ軍兵士の遺体回収を遺族とこのために行う機関で、その中には太平洋戦争で亡くなった兵士の方の遺骨の発見と回収も含まれています。
今回はそのミッションをTask Force Dagger Specials Operations Foundationという戦争で身体の一部を失ったり、PTSDを抱えている退役軍人の方々を支援している財団が【リハビリのためになる意義のある活動】として行いました。
ただもちろん彼らはダイバーであれ水中発掘はしたことがないため、水中発掘が出来る水中考古学者たちがプロジェクトを監督する形で行われました。プロジェクトリーダーは私も何回も一緒に仕事をさせてもらっているEast Carolina Universityのジェニファー・マクキノン教授です。プロジェクトの実施自体は今年で3回目となります。マクキノン教授からの依頼を受けて、水中考古学者の一人として、発掘の進み具合を記録しながら、この遺骨回収プロジェクトのお手伝いをすることになりました。
いつもと違い、今回はアメリカ軍人の遺骨回収というプロジェクトであることと、遺族への配慮から、DPAAの規則としてプロジェクト関連の写真やそれについて書かれたものは全てDPAAの許可を取らないと発表できないので、詳細や様々な作業中の写真は後で時間ができたらまとめて書かせていただきます。
全ての作業が終わって言えるのは、このプロジェクトを通して【水中遺跡からの遺骨回収の方法(歴史探求の為のやり方とは全然違う)】や【退役軍人(ダイバーさんですが、水中発掘・考古学については素人)の方々との共同での水中発掘プロジェクトの運営方法など、実際に参加することで私自身も本当に多くの新しいことを学ぶことができました。
私もここ4~5年、他の太平洋の戦争遺跡の保護プロジェクトに関わらせていただいています。その成果もあって、今後は太平洋の島々の陸上の戦争遺跡からの遺骨回収プロジェクトのお手伝いをさせていただくことになっています。
ただ日本政府も、水中遺跡からの遺骨回収の実施を考えているらしく、もし今後水中での水中遺跡からの水中発掘による遺骨の捜査と回収が行われることになったときに、ここで行われている方法論を日本に持っていけるように真剣にやり方を学ばせていただきました。

あと単純な感想としてアメリカのガチの(退役)軍人は凄い!
昔アメリカの大学院で学んでいたころ、ティーチングアシスタントの仕事で若い士官学校の生徒や、新兵キャンプ(ブートキャンプ)だけをいったことのある元軍人の大学生とは何人とも接したことはありますが、はっきり言って口だけで、幼く、あまりいい印象は受けていませんでした。
ただ今回一緒に働かせてもらったのは、ガチで長年最前線で活動し、トラウマを抱えることになるほどの命を懸けた現場にいた皆さん。
マジで作業の一つ一つがテキパキ過ぎる。指示を出すのは私を含め6人の考古学者なのですが、作業についての学習能力と連係プレーが優秀すぎる。今までフィールドスクールで指導してきたどの大学院生たちよりも優秀でした。ハリウッド映画は間違っていなかったんだなーっと感心しました。ただ、皆さんとても気さくな方々で、仲良く和気あいあいと楽しく2週間過ごすことができました。
そしてマクキノン教授!まだ40代後半なのにやっぱり凄いなー。プロジェクトを円滑にいい雰囲気で行うための振る舞いや指揮の取り方。いつもながら勉強させてもらいました。彼女を含め何人の女性の水中考古学の教授と仕事をしてきましたが、皆さん素晴らしい水中考古学者であり指導者。私も彼女たちみたいな水中考古学研究者になれるように日々様々な事柄を吸収していきたいと改めて思いました!
とても実りのある楽しい2週間でした。
いち早くプロジェクトの詳細を知りたい方はTask Force DaggerのFacebookページをご覧ください。
https://www.facebook.com/TaskForceDaggerFoundation
明日チームと共にサイパンを離れて、来週からは南米のコロンビアで3週間弱働かせていただきます。3年ぶりのコロンビアンコーヒー!!!!!楽しみです。