サウスカロライナ州で働いていました。


もう10日以上前のことになるのですが、アメリカのサウスカロライナ州で働いていました。(現在はメキシコの首都メキシコシティで働いています。)

なんやかんやで忙しく、サウスカロライナ州での仕事についてその後にブログで全く触れていなかったので、このまま完全に忘れる前に一応ですが少しですが書き残しておきます。

4月末から5月初旬まで10日間ぐらいアメリカ東海岸のサウスカロライナ州のステイトアルケオロジー(州の考古学を統括する機関)の水中考古学者の3名と、イーストカロナイナ大学の院生2名と、私の母校でもあるテキサスA&M大学の院生1名の、計6名の水中考古学研究者さん達へのフォトグラメトリトレーニングの講師の依頼を受けて働いてきました。(もともとは職員3名の予定だったのですが、3月にサイパンで一緒に働いたイーストカロナイナ大学の教授の生徒と、私の元同級生で親友のクリス(現A&Mの教授)の生徒が飛び入りで参加してくれました。)

依頼主はサウスカロライナ州のステイトアルケオロジー(州内の考古学遺跡などを取り仕切る公的機関)の水中考古学部門を束ねるジムさん。嬉しいことにジムさんとは実は1回も会ったことがありませんでした。それにも関わらず依頼をくれたのです。(ありがとうございまっす)

基本的にこれまでの私への水中考古学の仕事依頼は、既に知り合いの水中考古学者の同僚(友人)からの依頼か、知り合いの知り合いからの依頼なのですが、ジムさんの場合は誰かに紹介してもらったわけでもなく、個人的な下調べをした結果で依頼をくれたと言ってくれました。実はこれは私としてはかなり嬉しいこと。母校のあるアメリカの知り合い水中考古学界隈以外からも仕事と研究実績を認めてもらえた気分になり浮き足立ちました。(調子に乗ってすいません)

私は結局はアメリカで学位を取った【アメリカ出身の水中考古学者】(国籍も産まれも育ちも完全な日本人なのですが、学術的にという意味です)なので、アメリカ国内の研究機関から今回のように離れた関係のところから直接依頼をもらえるのは、個人的に実はなによりも嬉しいものがあったりします。

ちなみにアメリカは他国よりもいち早く社会状況がコロナから回復しているので、今年と来年は沢山アメリカの研究機関から仕事の依頼をいただいています。アメリカからの依頼は単価が良いのでうひゃっひゃーです。(今年4個+来年2個)

話は下世話にずれましたが、サウスカロライナ州での仕事内容は7日間の陸上での講習(講義5日間+実技2日間)と、実際の水中沈没船遺跡に潜っての水中での講習を2日間行いました。私の働いていた州都コロンビアは海から離れた内陸部にあり、そこにオフィスを構えるステイトアルケオロジーの彼らの仕事も半分が内陸部の水中文化遺産の調査です。つまり川や湖での水中調査も多く行っているのです!

そして今回の実技講習でジムさんが選んだ場所は川でした。



  
  

【川】かよ…
  
  

私実は川で潜るのが嫌いです(湖の仕事依頼もそんなに好きではありません。)

川や湖は、海よりもずっと透明度が悪いことが多いのです。そして川は流れがきつい。

といっても私が川で沈没船調査をしたことがあるのは、実はたった2回目です。

1回目の調査は10年以上前の学生時代に参加した、イタリアの(ドブ)川での古代ローマ船の水中発掘調査。そのときはチームの半数が耳を感染症でやられてダイビング作業が不能になりました。(一方で湖での調査はアメリカで2プロジェクト3シーズンほどやっているので、多少は慣れています。ちなみに1回ほど作業後に低体温症になってやばかったです。)

ただ【川よりは海派の水中考古学者】の私も、作業場所に関して駄々をこねるわけにはいきません。
今回もしっかりと潜って働かせていただきました。

サウスカロライナ州のステイトアルケオロジーは小型の調査船とトラックを所有しており、それを使い州内に出向いて調査をしているそうです。
(でもまぁノースカロライナ州のイーストカロナイナ大学や、オーストラリアのフリンダース大学にもしっかりと小型の調査船とトラックとトレーラーがあるので、それが所有していないのはテキサスの田舎町にキャンパスのあるテキサスA&Mぐらいなのかもしれません。)

調査兼トレーニングの2日間は早朝から船とトレーラーの準備をして、3時間車を運転して最寄りの船着き場に向かい、そこから船で30分ぐらいは走らせて調査現場に到着しました。

今回は2日間をかけて19世紀の沈没船2隻の調査を行いました。水温は低くなく水の中でも快適だったものの、やはり透明度は1m程でした。

1カ月前の3月に潜っていたサイパンの透明度は30m~40m。この違いよ

そして流れも速い。

でも、やっぱり沈没船遺跡はかっこよかったです。淡水なので(海中で木材を食べる)フナクイムシもおらず、保存状態はすこぶる良好でした。

(でもやっぱり調査するなら海がいいなぁ。)

そんなこんなで9日間(ワニに食べられることもなく)無事に働いてきました。

でもやっぱり川での仕事はこの先暫くやらなくていいかなぁ。19世紀の船は私の研究分野としても新しすぎるし。

でも9日間久しぶりにアメリカ本土で、アメリカ人水中考古学者の皆さんととても楽しく仕事することができました。次にアメリカに帰ってくるのは7月!その現場は極寒なので、今のうちからいっぱい食べて脂肪増やしておきます。

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