クロアチア (2018)

アドリアス・プロジェクト(AdriaS Project)

プロジェクトディレクター:イレーナ・ロッシ博士(Dr. Irena Radic Rossi)

場所:クロアチア

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2018年もクロアチアで沢山働かせてもらいました。滞在期間は実に89日間滞在しました。一年の4分の1をクロアチアで過ごしています。古代の時代から地中海と大陸ヨーロッパを繋ぐアドリア海に位置しているクロアチアは2400年以上の海と人類を繋ぐ歴史があります。その歴史の謎を解くために発足したのがザダー大学のイレーナ・ロッシ教授をリーダーとしたアドリアスプロジェクト。1つの沈没船遺跡に留まらず、クロアチア中で様々な発掘を行っています。2018年に私が参加したものでは、

沈没船遺跡:6カ所(スペター・ツァブタッド沈没船(古代ローマ時代)、ドリア沈没船(古代ローマ)、ジリエ沈没船(古代ギリシャ)、イロヴィック沈没船(古代ローマ)、レタビス沈没船(古代ローマ)、グナリッチ沈没船(16世紀ベネチア船)

水中遺跡:1カ所(ドゥブロブニク防波堤水中遺跡(16世紀))

陸上遺跡:1カ所(コーナッティ諸島国立公園集落遺跡(中世))

写真実測ワークショップ:1回

合わせて9カ所、古代から中世にかけての様々な美しい遺跡で水中調査及び発掘を行いました。ここでは順を追って紹介したいと思います。

6月:ドリア沈没船とスペター・ツァブタッド沈没船

今年は6月にドリア沈没船とスペター・ツァブタッド沈没船遺跡の水中調査から始まりました。

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6月:水中写真測量国際ワークショップ

その直後にドゥブロブニクでの3次元測量のワークショップを開催し各国の水中考古学者と充実した時間を過ごすことができました。

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7月:ジリエ沈没船

その後は古代ギリシャ時代の船、ジリエ沈没船の調査を行いました。

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7月:コーナッティ諸島

クロアチア滞在前半の最後はコーナッティ諸島国立公園に向かい、16世紀ごろの集落の陸上発掘。こうして思い返すと6月から7月前半の約一か月間でいろんなところにいったなと思います。その後日本でのプロジェクトのために一時帰国しました。

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8月:グナリッチ沈没船水中発掘

ヨーロッパでの仕事が始まる前に10日間だけクロアチアに滞在しました。この後にフィンランド・トルコ・ギリシャのプロジェクトがあり、2カ月後に再びクロアチアに戻ってきました。

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10月:学会発表とコーナッティ諸島国立公園

10月のクロアチアの学会には共同研究をさせていただいている九州大学の菅先生を招待させていただき、一緒に楽しい時間を過ごせました。

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10月:イロヴィック沈没船調査

コーナッティ諸島での水中調査の後はイスラエルとニュージーランドの考古学者と一緒にイロヴィック沈没船の水中調査をクロアチア北部で行いました。

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10月:レタビツァ沈没船水中発掘

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10月:グナリッチ沈没船水中発掘

その後に再びグナリッチ沈没船に戻り水中発掘。これが今年最後のグナリッチ沈没船での水中調査になりました。ちなみにこの沈没船はクロアチアの水中文化遺産の目玉ともいえる非常に重要な水中文化遺産で、私も2012年からこの沈没船の調査に参加しています。

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11月:ドゥブロブニクでの防波堤遺跡水中発掘

その後にフランスでの学会とマルタ共和国での仕事が終わり再びクロアチアに帰ってきました。

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まとめ

合計3カ月足らずの滞在にもかかわらず9カ所で働きました。何よりそれだけの貴重な経験を積ませてもらいました。私の研究者としての専門は沈没船の復元再構築(シップ・リコンストラクション)です。これには考古学者として沈没船を見る「目」があるかが重要になります。この目を養うには文献資料だけでなく実際に現場に潜り数多くの沈没船遺跡の研究に携わるしかありません。仕事として依頼をいただいているクロアチアですが、それ以上に毎年研究者として様々な経験をさせてもらっています。

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そしてこの3か月間を通して多くの水中考古学者と出会うことができました。クロアチアは私にとって第二の故郷とも呼べる場所。これから何年もここで働きたいと思っています。2019年も頑張ります。

次のプロジェクトに進む

イェニカピ沈没船(第24号)木材3D記録プロジェクト(トルコ:2019年)

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