船の考古学とは?

「船の考古学」とはどのようなものでしょうか?

また、水中考古学とではどのような点が異なるのでしょうか?

ここでは、この学問が海外ではどのように定義付けされ理解されているのか、英語を交えて解説していきます。

 

水中考古学 = Underwater Archaeology

この学問を広義に定義付けするものとして「水中考古学」という言葉がよく使われます。

私たちも一般向けの書物や学術雑誌などでは自らを「水中考古学者」と紹介することがしばしばあります。

水中考古学は一般的に認識されている「陸上の考古学」とは別のものではないと考えます。むしろ、陸上の考古学の延長線上にあるひとつの分野であるといえます。すなわち、陸上の遺跡や文化遺産の研究をしている考古学者が、たまたま研究の対象物を水中で見つけてしまった場合、その研究活動の分野を水中考古学とよぶのです。

例えば、エジプトのアレクサンドリアでクレオパトラの宮殿がみつかりました。これはたまたま遺跡が水中にあるだけで、基本的な研究分野としては「エジプト考古学」に包含されます。

一方、水中遺跡は研究対象物が水中にあるがために、遺跡の発掘の仕方や記録方法、遺跡の保存処理について陸上の考古学とは異なる特殊な技術・技能が必要になります。この特殊技能を身に着けた考古学者を水中考古学者と呼ぶのです。

大切なことは、水中考古学は陸上の考古学のように一つの学問として完結しているのではなく、陸上の(一般の)考古学の一部分であり、よって、全ての水中考古学者は水中考古学者であるまえに、広義の考古学者としての充分な知識や学術的経験を備えた研究者であることが求められるということです。

 

 

海事考古学 (海洋考古学) = Maritime Archaeology

学術関係では一番使われている言葉です。海事考古学(Maritime Archaeology)を至極簡潔に言えば「海に関わる人類の歴史を研究する」学問です。

海事考古学の研究対象としては昔の港の跡や地震で水中に沈んでしまった町などの遺跡、海上交易の歴史などが挙げられます。また遺跡保護の為に必要な海事法の研究なども重要な研究対象の一つです。その他に海事史(主に海軍の歴史)なども海事考古学の研究対象です。このように海に関わる人類の歴史研究の過程で発掘された遺跡等の分析解明に関わる学術分野を総括して海事考古学(Maritime Archaeology)と呼んでいます。

私自身は博士号を「船の考古学(Nautical Archaeology)」で取得しました。現在は船にとどまらず、水中遺跡全般の研究に携わるようになったので、学会でのプロフィール紹介や名刺などには海事考古学者(Maritime Archaeologist)と記載しています。

 

 

船の考古学 (船舶考古学)= Nautical Archaeology

私はテキサス農工大学(Texas A&M University) 大学大学院文化人類学科(Anthropology Department)の船舶考古学専攻 (Nautical Archaeology Program) で修士号と博士号を取得しました。つまり船の考古学を専門としています。

船の考古学の英訳であるNautical Archaeology は Nautical 「船に関する」と Archaeology 「考古学」の組み合わせになっています。

「Nautical」という単語も

「naut」(船の) + 「ical 」(関する)

というラテン語が語源です。

Nautical Archaeology  = 「船の考古学」というわけです。

船は、飛行機が誕生する前は、人類が海を渡るための唯一の手段でした。そして、船自体、当時の最先端の技術を用いて造られた機器であり、沈没船を研究することにより当時の人々の技術水準を知ることが出来るのです。

また、沈没船から発見された積荷を研究すれば、その時代のどの国がどのような交易をおこなっていたかを詳しく知ることが出来ます。

つまり船という「扉」を通して、過去の人々の暮らしを研究するのが「船の考古学」なのです。

 

 

まとめ

いかがでしたか?「船の考古学」に興味を持っていただけたら嬉しいです。次は一緒に「船の考古学」がなぜ「考古学」の中でも特に重要な役割を担っているのかについてすこし詳しくを見ていきましょう。

<沈没船はタイムカプセル>

 

 

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