北欧ヴァイキング時代最後の沈没船遺跡、スクーダレヴ沈没船群(西暦1060年~1070年頃)

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スクーダレヴ沈没船群の復元再現イラスト。(Throckmorton, 1987)

ここではヴァイキング時代最後にして最大のヴァイキング船遺跡であるスクーダレヴ沈没船群遺跡を見ていきましょう。基本的なヴァイキング時代の定義としては、キリスト教にとって異教徒であったヴァイキングたちが現在のスウェーデン、ノルウェー、デンマーク、そしてイギリスを支配した300年間の時代のことを示し、キリスト教徒たちが再びこれらの地域の主導権を握った11世紀の中頃から末期を、そのバイキング時代の終わりとしています。

現在のデンマーク東部で発掘された5隻の沈没船はバイキング時代の最後に建造されたバイキング船であるとされます。これら5隻の船は当時のデンマークの首都であったロスキレ(ロスキルダ)を他国や民族からの強襲を防ぐ目的のバリケードとするため意図的に沈められました。このスクーダレヴ沈没船群遺跡が考古学的に重要な点として、強襲用の櫂船から長距離輸送用の帆船まで、用途別の目的のために建造されたバイキング船が一カ所、同時代の遺跡から同時に発見されたことです。これにより当時のバイキングたちが目的に合わせて様々な種類の船を建設し、運用していたことがわかったのです。

それでは最後のヴァイキング船遺跡であるスクーダレヴ沈没船群遺跡を見ていきましょう。

スクーダレヴ沈没船群(西暦1060年~1070年頃)

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スクーダレヴ沈没船群の発掘現場を写した航空写真。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Photo courtesy Stiesdahl, Hans)
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スクーダレヴ沈没船群の各船の発見場所を現した地図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Crumlin-Pedersen) 

1962年にデンマーク東部の町スクーダレヴ近くの海峡で5隻のヴァイキング船が発掘されました。当時は6隻の船が見つかったとされましたが、後にそのうちの一隻(スクーダレヴ4号船)は他の船(スクーダレヴ2号船)の一部であるとわかり、現在は発見されたのは5隻であるとされています。炭素年代測定によりこれらの船が西暦1060年~1070年頃に建造された船であるとわかりました。発掘はコッファーダム(防水せき)を使い、囲いの中の水を排水し、陸上と同じ方法で発掘されました。

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スクーダレヴ沈没船群の発掘現場の様子。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002)  (Photo courtesy Olsen, Olaf)

スクーダレヴ1号船

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スクーダレヴ1号船の1/10サイズ復元模型。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Image courtesy Karrasch, Werner)
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スクーダレヴ1号船遺跡の大きさを表したフラグメントモデルのイラスト図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Trakadas, Athena)

スクーダレヴ1号船は全長が16.5m、最大幅4.6m、全長と幅の比率が3.6:1ととても帆走に適した形をしていました。また膨らんだ船首と船尾をもち、積載量の大きい優れた輸送船であったと思われます。後の研究によりスクーダレヴ1号船はアイルランドで建造された船であることがわかりました。おそらくバイキングたちはこのような船を用い一族や家族で北海を越えてさまざまな地域への移住を行っていたのでしょう。

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クナー(Knarr)を描いたとされる壁画を簡略化したイラスト図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Image courtesy Universitetets Oldsaksamling)

バイキングたちの叙事詩ではこのような丸みを帯びた船首と船尾をもった輸送船を「クナー:Knarr」と呼んでいました。

船の中央部は甲板でおおわれていなく(オープンデッキ)、甲板は船首付近と船尾付近だけにありました。この甲板横には船首に4つのオール穴(左右2つずつ)、船尾にの4つのオール穴(左右2つずつ)が開いており、必要であれば櫂走も可能でした。

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ロスキルダ・ヴァイキング船博物館で展示されているスクーダレヴ1号船の写真、左舷後方からの撮影。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Photo courtesy Karrasch, Werner)

船体中央部の断面は比較的緩やかなV字型をしており、このV字が鋭くなるのは船首と船尾付近のみでした。丸みを帯びた船首と船尾のおかげで貨物スペースは大きくなっており喫水も深く、25トンの排水量があったと考えられています。

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ロスキルダ・ヴァイキング船博物館で展示されているスクーダレヴ1号船の写真、右舷前方からの撮影。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Photo courtesy Karrasch, Werner)

とても大きく頑丈なフレーム(助骨)を備えており、それらは木釘で外板に留められていました。さらに丈夫なビーム(梁)とスタンディング・ニーをもち、かなり頑丈な内部構造を持った船であったと考えられます。

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スクーダレヴ1号船の船体構造の復元図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Nielsen Soren)

一番下のビーム(梁)は低い位置にあり、船首と船尾付近では2段目のビームが甲板板を支えていました、更に船体の両端付近には3段目のビームがあり、船体を両端から補強していました。

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スクーダレヴ1号船の復元船型図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Crumlin-Pedersen)

船底付近の外板は厚さが2.5㎝ととても薄く、船に柔軟性を与えていました。側面の外板は6.3㎝と分厚く、船に重さと強靭さをもたらしました。この船底を柔軟に、側面を頑丈にというのは古くからのヴァイキング船の伝統を受け継いだ造船様式であったと考えられます。しかしながらこのスクーダレヴ1号船が以前のヴァイキング船と違う点は、船底付近のフレーム(助骨)もクリートと紐で留めるのではなくは無く、しっかりと外板に木釘で留められていたことです。これにより船底の構造も安定し、多くの貨物を運搬するのにも適した船体構造であったといえます。ヴァイキングたちはスクーダレヴ1号船のような船で北海の海を渡っていたのでしょう。

スクーダレヴ2号船

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スクーダレヴ2号船の1/10サイズ復元模型。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Image courtesy Karrasch, Werner)
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スクーダレヴ2号船遺跡の大きさを表したフラグメントモデルのイラスト図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Trakadas, Athena)

スクーダレヴ2号船は保存状態の悪い状態で発掘されました。しかしながらヴァイキングの強襲用の櫂船として数少ないとても貴重な考古学的発見でした。ヴァイキング時代の強襲用の櫂船をその形状から「ロングシップ」と呼んでいます。

スクーダレヴ2号船は全長が29.3m、最大幅が3.8mあり、全長と幅の比率が7.8:1ととても長細く、櫂走に特化したデザインをしていました。ヴァイキングたちはフレーム(助骨)とフレーム(助骨)の間の空間を「ルーム」と呼んでおり、スクーダレヴ2号船には30のルームがありました。これはこの船が最大で60人の漕ぎ手によって運用されたことを示しています。このルームが30かそれ以上ある大型の強襲用の櫂船をヴァイキングたちは「ドラカー:Drakkar」と呼んでいました。ヴァイキングたちの伝承(サーガ)の中には34のルームを持つドラカー、さらに40や60もつドラカーも登場してきます。これらが真実ならおそらくこれらのロングシップは46m~60mほどもあったのではないかと考えられています。

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スクーダレヴ2号船の船体構造の復元図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Crumlin-Pedersen)

スクーダレヴ2号船の船体には頑丈なオーク材が使われていました。しかしながらその構造はとても軽く柔軟で、スピードを重視した強襲用の櫂船にとても適した造りになっていました。フレームは他の船よりも薄く幅広く、外板と木釘で留められていました。二番目のフレーム(フトック:Futtock)は一番目の(船底をまたぐ)フレームの中間に位置し、ビター(梁)の高さよりも下に飛び出ていました。船底と船横の変わり目となる湾曲部(ターン・オブ・ザ・ビルジ)にあるシェルフ・ストレークと呼ばれる外板列はメガフーファーのようにビームとスタンディング・ニーとフレーム(肋骨)を繋いでいました。水面の高さよりも下に位置する外板列は厚さが1.5㎝、水面より上では3.5㎝になっており、船底は柔軟で、側面が頑丈な造りとなっていました。

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ロスキルダ・ヴァイキング船博物館で展示されているスクーダレヴ2号船の写真、船体中央部。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Photo courtesy Karrasch, Werner)
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スクーダレヴ2号船のマストステップの実測図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Larsen, Viggo Kjar)

スクーダレヴ2号船からはマストステップも発掘されており、櫂走能力の他に帆走能力も備えていたことがわかっています。このマストステップは19ものフレームをまたがっており、このマストステップはマストの重量を分散させる役割の他にも、船の縦方向の強度を船体内部から補強する機能を持っていたと考えられます。これは現在の船のキールソン(内竜骨)と似た役割でした。

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スクーダレヴ2号船の復元船型図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Bischoff, Vibeke)

スクーダレヴ3号船

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スクーダレヴ3号船の1/10サイズ復元模型。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Image courtesy Karrasch, Werner)
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スクーダレヴ3号船遺跡の大きさを表したフラグメントモデルのイラスト図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Trakadas, Athena)

スクーダレヴ3号船は全長が13.7m、最大幅が3.1m、全長と幅の比率が4.4:1と、おそらく近海で使われていた短距離用の貨物輸送船であったと考えられています。

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ロスキルダ・ヴァイキング船博物館で展示されているスクーダレヴ3号船の写真、右舷後方から撮影。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Photo courtesy Karrasch, Werner)

スクーダレヴ3号船も中央部はオープンデッキのカーゴホールド(貨物用スペース)なっていました。1号船と3号船の違いはこのカーゴホールドにシーリング・プランク(積み荷から船体本体(外板とフレーム)を守るために敷かれた床となる板)が置かれていなかったところです。これはおそらく船体を軽くするために意図的にシーリング・プランクを外した構造になっていたのだと考えられます。また船体の側面は軽い造りになっており、ファトック(2番目のフレーム)は片面に2つしかありませんでした。船体側面の外板は厚さが3.5cm~3.8cm、船体底部の外板は厚さが2.5cmと他のヴァイキング船のように船底部が柔軟に、船体側部が頑丈な構造になっていました。スクーダレヴ3号船にも1号船のように船首と船尾付近には甲板があり、船首に5つオール穴(そのうち2カ所にしか使用された形跡がありませんでした。)、船尾に2カ所のオール穴がありました。

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スクーダレヴ3号船の船体構造の復元図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Crumlin-Pedersen)

船体の内側には4つのストリンガー(縦材)と呼ばれる船体を内部から縦断する形で補強する厚い板が置かれていました。そのうち2つは船体側面の上部に、下部の2つはビティ(梁)を支えるシェルフ・クランプとしての役割も担っていました。

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スクーダレヴ3号船の中央内部の構造、マストステップ、フレーム、ビーム(梁)。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Image courtesy Elswing, Niels)

船体中央のビティは2重構造になっており、上部のビティにはマストを支えるマストパートナーの役割も持っていました。つまりスクーダレヴ3号船では、これまでのヴァイキング船に確認できたようなフィッシュは無くなっており、その代わりとして大きく発達した2重のビティがマストを支えていたのだとされます。またこの上部のビティにはマストを受け留めるための溝が彫られていました。このマストパートナーの役割も持つ巨大なビティ(梁)はこれまで見てきたスタンディングニーだけではなく、その前部と後部にも水平に備え付けられたニー(肘材)が備え付けられており、このビティを支えていました。この水平方向に備え付けられた木材をロッジングニーといいます。

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スクーダレヴ3号船の各フレーム付近の断面図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Image courtesy Andersen, Erik)

さらに船首付近と船尾付近のビティ(梁)も上下の2重構造になっており、こちらは下部のビティが甲板を支え、上部のビティ(梁)は櫂走時の漕ぎ手の漕ぎ座として使用するためであったと考えられています。

保存状態の良かったスクーダレヴ3号船から当時のヴァイキング船の造船工程の様子がわかっていました。

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スクーダレヴ3号船の造船工程(下方から)。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Lorin, Peter)

①最初にキール(竜骨)と船首・船尾を組み立てます。②その後に外板を組み立てます。外板どうしはリベット(鉄鋲)を使って留められていました。③その後フレーム(リブ)を備え付け、④ビティなどの内部構造をフレームの上に組み立てていきます。⑤最後にマストや帆などの艤装を組み立てます。

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スクーダレヴ3号船の復元船型図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Villum-Nielsen, Sune)

スウェーデンのヴァイキングたちは東ヨーロッパの河川をさかのぼり黒海に至り、東ローマ帝国(ビザンティン帝国)のコンスタンティノープルを交易をしていました。彼らたちはおそらくスクーダレヴ3号船のような小型の商船(輸送船)を使用しこれらの交易を行っていたと考えられます。

スクーダレヴ5号船

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スクーダレヴ5号船の1/10サイズ復元模型。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Image courtesy Karrasch, Werner)
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スクーダレヴ5号船遺跡の大きさを表したフラグメントモデルのイラスト図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Trakadas, Athena)

船の番号順から行くと次は4号船なのですが、最初に4号船と思われた遺物は後の研究により2号船の一部だということがわかったので(4号船という船はありませんでした。)、ここでは次の番号を持つ5号船を紹介していきたいと思います。

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ロスキルダ・ヴァイキング船博物館で展示されているスクーダレヴ5号船の写真、左舷後方からの撮影。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Photo courtesy Karrasch, Werner)

スクーダレヴ5号船は小型の強襲用のロングシップで、主に居住地周辺の見回りや比較的短距離での強襲に使用されていた船だと考えられています。片側に13人、合計で26人の漕ぎ手によって運用されていました。5号船は全長が16m、最大幅が2.5m、全長と幅の比率が6:1で、船体のほとんどがオーク材で作られていました。(船体側部の補修された3外板列の部位にはアッシュ材が使用されていました。)

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ロスキルダ・ヴァイキング船博物館で展示されているスクーダレヴ5号船の内部構造。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Photo courtesy Karrasch, Werner)

船底部の外板の厚さが1.5㎝、船体側部の外板の厚さは3.8㎝で、ファトック(2番目のフレーム)は使われていませんでした。船体内部は2つのストリンガー(縦材)によって補強されており、下方のストリンガーは2段目にビティのシェルフ・ストレークとしての役割も持っていました。

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ロスキルダ・ヴァイキング船博物館で展示されているスクーダレヴ5号船の写真、右舷前方からの撮影。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Photo courtesy Karrasch, Werner)

5号船からはマストステップも発掘されたので、この船には帆走能力もあったことがわかります。しかしながら、このマストステップはフレーム3本にまたがるだけと非常に軽い造りでした。

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スクーダレヴ5号船の復元船型図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Bischoff, Vibeke)

スクーダレヴ5号はフレーム、ビーム(梁)、ストリンガー(縦材)ともにとても軽い造りになっていました。そのため喫水も0.6mととても浅く、川などの浅い水辺での使用が可能ででした。フランスなどの中央ヨーロッパの記述では、北欧のヴァイキング達の船は川を遡り、内陸部にある中世フランスの居住地を強襲していたとあります。おそらく記述に出てくるヴァイキングたちはスクーダレヴ5号船のような強襲用のロングシップを用いてこれらの侵略を行っていたと考えられます。

スクーダレヴ6号船

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スクーダレヴ6号船の1/10サイズ復元模型。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Image courtesy Karrasch, Werner)
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スクーダレヴ6号船遺跡の大きさを表したフラグメントモデルのイラスト図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Trakadas, Athena)

スクーダレヴ6号船は全長が11.9m、最大幅が2.4m、全長と幅の比率が4.9:1の小型の船でした。船体に使用された木材はマツ、ハンノキ、カバノキ、オーク材(キール)です。

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ロスキルダ・ヴァイキング船博物館で展示されているスクーダレヴ6号船の写真、右舷後方からの撮影。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Photo courtesy Karrasch, Werner)

スクーダレヴ6号船はその生涯のなかで2種類の用途で使用されたと考えられています。①最初は西暦1030年頃に造られ、主に漁船として使用されました。②その後、船体側部の上方に外板列が2列追加され、荷物や家畜の輸送用に使われたと考えられています。

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スクーダレヴ6号船の復元船型図。(CRUMLIN-PEDERSEN, et al., 2002) (Illustration courtesy Bischoff, Vibeke)

船体からは小型のマストステップも発掘され、6号船は主に帆船として運用されていたことがわかっています。しかしながら船首部分におそらく(船体の状態が良くないので確かなことはわからないのですが)2つのオール用の穴も見つかっており、緊急用としての櫂走能力も備えていたとされます。

まとめ

ロスキレ ヴァイキング 船 博物館
5隻のスクーダレヴ沈没船が展示されているロスキルダ・ヴァイキング船博物館。(撮影: 筆者。2018年)

いかがでしたか?ヴァイキング時代の終末期に建造された5隻のスクーダレヴ沈没船。その船体構造から卓越した北欧の造船技術と共に、ヴァイキングたちがその目的に合わせて様々な種類の船を造り使用していたことがわかりました。1号船は外洋用の大型の輸送船、2号船は大型の強襲用ロングシップ、3号船は近海用の小型の輸送船、5号船は小型の強襲用ロングシップ、6号船は最初は漁船として使用され、後に小型の輸送船として運用されました。

優れた海洋民族だったヴァイキングたちは11世紀の終わりと共に、中世後期に再び勢力を取り戻してきたキリスト教徒の国家群「神聖ローマ帝国」に吸収または侵略される形で、民族としての姿を消します。しかしながら彼らの造船技術はその後も北欧諸国にも継承されていき、中世後期に復興した神聖ローマ帝国北側の商業都市間でおこった「ハンザ同盟」の輸送船として引き継がれていくことになるのです。

次は少し小休憩として、私がこの章で紹介をした5隻のスクーダレヴ沈没船が展示してあるデンマークのロスキルダ・ヴァイキング船博物館を訪れた時に感じたヴァイキング船の構造に関する考察を紹介したいと思います。

<小休憩「ヴァイキング船考」>






<参考文献>

CRUMLIN-PEDERSEN, O., BONDESEN, E., & OLSEN, O.  (2002). The Skuldelev ships: topography, archaeology, history, conservation and display 1. 1. Roskilde, Viking Ship Museum.

THROCKMORTON, P. (1987). The Sea Remembers: From Homer’s Greece to the Rediscovery of the Titanic. London, Bounty Books

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