遺跡データのデジタル保存

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ここでは「フォトグラメトリ」を水中遺跡、また考古学的な遺跡に限らず全ての文化遺産において使用することの重要さを述べたいと思います。

皆さんは私たちが普段から旅行などで訪れてる「遺跡」や博物館の中の「遺物」は今後も無事にあり続けると思いますか?

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答えは「No」です。残念なことに近年タリバンやISISなどのグループにより重要な中東の遺跡や博物館内の遺物が破壊されてしまいました。その他にも水中考古学にはトレジャーハンターによる問題があり、彼らは世界各地で盗掘活動を行い貴重な遺跡を私利私欲のために破壊しています。(トレジャーハンターによる問題はこちらをご覧ください。)更にノートルダム寺院の火災が記憶に新しいように、地震・津波・雷による火災などの自然災害によっても多くの文化遺産が破壊されています。忘れてはならないのが、残念なことに世界各地の文化遺産で心無い観光客によって遺跡の一部が持っていかれたり、落書きがされていることです。

つまり私たちが知っている全ての文化遺産は常に破壊される可能と隣り合わせなのです。これら私たち人類の貴重な遺産は一度破壊されたら元に戻すことが出来ません。さらに極論をいえば、全ての遺跡は少しずつ風化しています。つまり遅かれ早かれ全ての文化遺産は姿を消してしまうのです。

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上の画像はサイパンでの調査プロジェクトに私の同僚が撮影した日本の上陸動艇の画像です。左が2012年のもの、右が2017年のものになります。この水中遺跡は水深10m程とそこまで浅くない場所にありました。しかしながら2015年に発生した大型の台風により壊滅的なダメージを受けてしまいました。

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上で見たように、私たち人類の貴重な文化遺産は常に危険と隣り合わせにあるのです。残念ながらすべての「破壊」を未然に防ぐことは出来ません。そこで私たち考古学者が提唱している策がデジタルデータとして遺跡の情報を未来に残すことなのです。現在はテクノロジーも発展して、デジタルデータさえあればかなりの精度で遺跡のレプリカを作成することが可能になりました。前のページで紹介したように、遺跡や文化遺産の情報、つまり寸法と表面情報(テクスチャ)をデジタルデータとして記録することのできるフォトグラメトリーは、陸上遺跡や水中遺跡に限らず、最も効果的な方法の一つなのです。

人類の共通の遺産である遺跡や文化遺産の情報を次の世代に繋いでいくためにもフォトグラメトリや他のスキャン技術を使用した情報の保護と保存が私たちにとって急務の課題なのです。その為には少しでも多くの皆様に考古学や歴史に関心を持っていただき、力を合わせて遺跡の保護を行っていかなければなりません。これには考古学者であるとかないとかは全く関係ないのです。

考古学では遺跡を動かさず、その場で保存することを「現位置保存」(in situ Preservation)といいます。それにかけ、私は遺跡の今現在の遺跡の情報を未来の世代に残すことを「デジタル現位置保存」(Digital in situ Preservation)と呼び、フォトグラメトリの技術を世界各地で多くの生徒に教え、この活動を推奨しています。

次のページでは具体例を挙げ、どのようにフォトグラアメトリを使い記録した遺跡のデジタルデータを活用できるのかを紹介します。

3.遺跡データの活用






 

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