スペイン (2018)

ポート・クリスト水中発掘調査プロジェクト

プロジェクトリーダー:セバスティア・ラブレス博士 (Dr. Sebastia Llabres and IBEAM)

場所:マヨルカ島、スペイン

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2018年5月にスペインの南東部、地中海に浮かぶバレアレス諸島のマヨルカ島で水中発掘調査プロジェクトに参加しました。このプロジェクトはIBEAM (Instituto Balear de Estudios en Arqueología Marítima) というプロとして働いている6人の考古学者から構成される非営利の学術組織によって行われました。IBEAMを組織する考古学者たちは普段は陸上の考古学者として政府の研究機関などで働いているのですが、1年に何度か各地域の政府の依頼受け水中に沈む沈没船の学術調査を行っています。私は約2週間半チームに同行して古代ローマ帝国の沈没船2隻と18世紀ごろの沈没船1隻の記録作業を担当しました。

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このプロジェクトは私にとっては少し特別なものでした。IBEAMを設立したスペイン人のメンバー2人は私の以前からの友人だったのです。最初に2014年にクロアチアのグナリッチ沈没船の発掘プロジェクトで考古学者でありプロのカメラマンとしても活躍しているハヴィ(Javier Pandozi:上の写真、右) と知り合い、発掘を通して仲よくなりました。その後、2016年にオーストラリアのフリンダース大学のフィールドスクールの仕事で同じく講師として参加していたのキケ (Enrique Nunez:上の写真、中央)と知り合い仲良くなりました。もともとハヴィとキケは大学生時代からの親友でした。そんなこともあり2016年以降は3人でいろいろと連絡を取り合い、いつか3人で一緒に仕事をしたいと話してたのです。このプロジェクトはそんな3人の小さな夢がかなったというものでした。また今回新たに知り合ったスペイン人の水中考古学者たちもみんないい人ばかりでとても楽しい時間を過ごすことが出来ました。

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(Image Credit: IBEAM (Instituto Balear de Estudios en Arqueología Marítima) )

この沈没船遺跡の発見場所もこれまでとは少し違ったものでした。通例では今回のように素潜りで届くような水深にある沈没船遺跡は考古学者が学術調査を行う以前に荒らされていることが多いのです。今回見つかった3隻の沈没船は、観光客の賑わう砂浜から20m~50mの距離に位置し、さらに推進も2m~5mととても浅いものでした。いくら沈没船の船体が30㎝~50㎝程の厚さの土砂に埋まっていたとはいえ、古代船2隻を含むこれらの水中遺跡が、今回のように保存状態のとても良いまま見つかったのは正直驚きでした。

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(Image Credit: IBEAM (Instituto Balear de Estudios en Arqueología Marítima) )

古代ローマ帝国時代の2隻の沈没船の外板に古代船の証であるペグド・モーティス・アンド・テノンがはっきりと残っており、考古学的にも貴重な遺跡でした。来年以降はさらに発掘を進めていき、より多くの古代ローマ帝国の船の謎を解き明かしていけることになると思います。楽しみにしていてください。

このプロジェクトに関する私の感想として、何よりスペインは人情があふれ、景色が綺麗で、ご飯がおいしかった!

スペイン料理は同じ南ヨーロッパの国でも、イタリア料理やフランス料理と少しちがい、ジャガイモと肉を豪快に使った料理が多かったイメージがあります。スペイン人の仕事の仕方もとても気楽(?)でリラックスしており、成果を求めながらも常に楽しみながら仕事をしており、わたしもとても過ごしやすかったです。

スペイン!素晴らしい国でした。既にIBEAMとはこれからのプロジェクトをいくつも考えています。何回も戻りたい国と何年でも一緒に時間を過ごしたい友人たちです。

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バルカン・ヘリタージ・フィールドスクール 2018 (ブルガリア:2018)

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