イロビック沈没船の再調査。(水中写真あり)

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3日間かけてイロビックというクロアチア北部の島にある沈没船の再調査を行ってきました。この沈没船は20年前に既に考古学者によって発掘が行われていたのですが、当時の発掘は積み荷の引き上げと分析が中心で、船体自体の調査は行われませんでした。20年がたった今では3次元測量などの技術も進歩して、水中考古学も比較的安価で調査を行うことができるようになったので、今回は今後この沈没船の船体研究をすべきか、沈没船の現状を確認するための再調査でした。この調査はクロアチアでの学会に参加したアメリカとイスラエルの水中考古学者が友人であるイレーナ教授に話を持ち掛け実現したもので、3日間という短い調査期間でした。

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この沈没船はその積み荷の研究によって紀元前2世紀頃の船であったとわかっています。既に数百個のアンフォラ(古代地中海の輸送用の壺)は引き上げられて、保存処理がなされ、研究分析後に博物館に展示されています。そのため海底で散らばっていたのは引き上げられなかった破損したアンフォラ片のみでした。

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今回は沈没船遺跡周辺の金属探知機を使った探査も行われました。

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海底を30㎝~40㎝掘ったところには船体の一部(フレームも確認でき)、今後調査が続けることになった場合の可能性も感じられました。

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水中調査後はそのまま近くのレストランでその日集めたデータの処理と整理。たった3日間の調査でしたが、沈没船の場所特定と金属探知機調査、現状遺跡の簡易測量、写真撮影に遺跡全体の3次元測量と天気にも恵まれ効率よく作業を終えることができました。

今回は残念ながらあまり研究できそうなものは見ることが出来ませんでしたが、クロアチアにはこのように部分的な発掘が行われただけの沈没船(またはまだ発掘が行われていない沈没船も)山ほど見つかっています。私も今年だけでクロアチア内での沈没船調査は6隻目。明日から新たに今年見つかったばかりの、盗掘者(トレジャーハンター)に破壊されていない古代船の調査を行います。楽しみです。

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