ポート・クリスト2019シーズン終了。

3日前に無事に今シーズンのポートクリストでの水中発掘作業が終わりました。今年はいつもに比べて土砂が大量に堆積していて、沈没船を掘り出すのにかなり時間がかかってしまいました。しかし発掘に参加してくれた日本人メンバーの活躍のおかげで、最終的にはしっかりと今まで未発掘だった船首部分も掘り出すことができ、古代ローマ時代の船について新たなこともわかってきました。

今年はスペイン人考古学者たちも別の仕事で忙しく、最後の一週間は、わずか4人での水中発掘。そして最後の3日間はわずか3人だけと、なかなか有り得ない状況。水深がわずか2.2mの場所にある沈没船なのでシフトを代えながら一日中6時間以上水中で作業していました。流石に疲れた。最後の一週間は本当に疲れた以外の感想はありません。

しかしながら今回の発掘シーズンはいつにも増して楽しかったです。何と言っても1番の思い出はフィールドスクール。日本から11名の皆さんが水中考古学を学ぶためにスペインまで来てくれました。

私にとっても初めての試みで始まるまでは不安もありましたが、一旦始まってみると毎日が楽しくあっという間に時が過ぎて行きました。「古代の船から歴史の謎を紐解く」という一つの目的に向かって共同生活しながら過ごす毎日は、学生時代の部活のようでもあり、文化祭のようでもあります。皆さんも私と同じようにこの楽しさを共有してもらい、そこから水中考古学のという学問の面白さを感じてもらえたら嬉しいです。

またフィールドスクールの講義内容も経験豊富な現役水中考古学者による様々な技術指導がふんだんに組み込まれ、海外で行われている水中考古学専攻の大学院生向けのフィールドスクールにも負けない内容であったと自負しています。また東京海洋大学の岩淵教授にも特別講義を行っていただき、日本における水中考古学の現状を教えてもらいました。

日本人の皆さんは朝の9時前から作業を開始してもらい、夕食が終わった頃には夜の11時ごろとGWなのにたくさん手伝ってもらいました。感謝です。

またIBEAMチームはフィールドスクールを全面支援してくれただけでなく、彼らの暖かいサポートのおかげで水中考古学以外にも様々なスペイン文化を勉強させてもらいました。

発掘作業も今年度の目標であった未発掘だった船首部分の記録作業まで無事に終わり大満足。日本人参加者の皆さんのおかげです。

スペインチームも大喜びで、来年は3月に大航海時代の船の水中記録作業、5月に引き続き古代ローマ船の水中発掘作業を中心としたフィールドスクールをスペインで計画しています。

私が学位をとったアメリカでも実際に現場での水中発掘経験が豊富な水中考古学者は実はそれほど多く有りません。文献資料研究や船の上からの水中探査のみに特化した研究者も多くいるのです。また世界で活躍している水中考古学者でも古代ローマ時代の保存状態の良い沈没船を発掘したことのある人は数少ないのです。

ここから「日本人水中考古学者大量生産計画」開始です。この中からいずれ世界の水中考古学を率いてくれる日本人研究者が現れてくれることでしょう。

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